『私の嫌いな10の言葉』を読みました。

最近のお気に入りである中島義道の本。題にある10の言葉とは、

  1. 相手の気持ちも考えろよ。
  2. 一人で生きているんじゃないんだからな。
  3. お前の為を思って言っているんだからな。
  4. 素直になれよ。
  5. 相手に一度頭を下げれば済むじゃないか。
  6. 謝れよ
  7. 弁解するな。
  8. 胸に手をあててよく考えてみろ。
  9. 皆がやな気分になるじゃないか。
  10. 自分の好きなことが必ずあるはずだ。

である。これらは真っ当かつ、善良な人たちが度々使う言葉だ。本書はこれらの言葉に潜む臭気について書かれている。

以下、感想。
臭気の原因について色々書かれていたが、それらは以下の3点に根源があるように感じた。

  • 『真っ当かつ善良な多数派の人間には、独特の感性を持つ少数派の考えは絶対に理解できない。』ということを、多数派が知らない、または考えないこと。
  • 『多数派の感受性に対する疑問は論じてはならない。』という圧力。
  • 多数派の人間の自己批判能力の無さ。

(例えば『素直になれよ』は、少数派の感受性の存在そのものを無視しているし、『弁解するな』は、俺たちに合わせろ、反論は認めないという考え方からきている。)

本書では、もっとちゃんと書かれてますので、真っ当な方は是非読んでみてください。特に常日頃、正論や良識的なことばかり言っている人に読んでもらいたい。

私の嫌いな10の言葉 (新潮文庫)

私の嫌いな10の言葉 (新潮文庫)